去年の夏の話

去年の夏、ずっと僕達兄弟を育ててきてくれた母が亡くなってしまった。
弟は実家にずっと残って家業を継いで、父がなくなって以降の母の支えとなってくれていた。
自分といえば実家の家業をほっぽり出して東京に上京して、ずっとやりたい放題を続けてきた。
やりたい放題だったと言っても結局のところは居酒屋を出し、バーを出し、経営者となり結局は父と同じ店の看板を掲げる人間となっていた。
それならば家業を継ぐのもひとつの選択だったかと思わなくもないが、結局それは自分の人生を自分で腹をくくったことに意味があると信じているし、父も涅槃から自分のことを応援してくれていたのだろうと感じている。
なんの商才も才覚もない自分や弟をずっと育ててくれた両親には感謝しているが、ついに来るべき時が来てしまったようだ。

前々から弟から危ない危ないとは聞いていたが、まさかこんなに突然とは思わなかった。
一昨年の末から入退院を繰り返していて、自分もなかなか時間を作れないなりに母を励ましに地元に帰ったりは確かにしていた。
東名高速を使って、およそ2時間弱。最近では新東名高速道路ができてくれたおかげでもう少し短くなったか。
おかげで、比較的母に会いに行くことはできていた。

最後の時間だけはきちんとしないといけないと、自分が今度は喪主になるわけだから。
しっぽりと送ってあげたいから、家族葬にしようとは前から話していた。その金額も調べていた。
金額を知るまでは家族葬でも心配だったが、家族葬の金額の詳細を知ってからは安心した。
一般葬だろうと家族葬だろうと、結局きちんと金額を知らないから不安になる。
それは、どんな商売でも同じだ。
だからこそ、自分でちゃんと調べるべきなのだ。

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